ギター紹介

愛器紹介② Epiphone Texan Elitist 1964

Epiphoneとは

始めに申し上げますと、このギター25万程しました。「え!?Epiphoneに!?こいつ馬鹿か」と思われた方、それは無理からぬことと思います。Epiphoneと言えば初心者向け、Gibsonの安物、廉価版で高くて5万円のようなイメージがあまりにも強いからです。今でこそそういう位置づけのギターですが、かつてはGibsonと肩を並べる、いやそれ以上のギターメーカーだったのです。あのthe BeatlesもCasinoやTexanといったEpiphoneギターを使っていますし。長くなりましたが、かつては決して廉価ブランドではなかったということだけ、覚えておいていただけたらと思います。

Epiphone Texanを求めて20年

Paul MacCartneyとTexan

まずはこちらの画像をご覧ください。

おわかりいただけるだろうか。ヘッドのEのロゴとEpiphoneの文字。私はBeatles特にPaulが大好きでして、Beatlesに出会ったおかげで人生が決まったといっても過言ではないのです。はじめてD-28を買ってもらった時、ショーケースにPaulのサイン付きのTexanがありましたが、お値段は200万。ポールが“Yesterday”を弾いたTexan。当然、私にとっては強烈な憧れであり“Texan”という字面と「テキサン」という響きは何か特別なもので、今でもこの言葉を見たり、聞いたりすると、ふわっとした高揚感があります。

思わぬ再会

大学に入り、私は大阪にいました。テキサンのことはほぼ忘れ、D-28に大満足をして、自分にはこれ一本あれば十分だ、と日々を過ごしていました。ふと立ち寄った、名前も憶えていないような小さな楽器屋さんに立ち寄ったところ、
“Epiphone Texan \99,800”
私はすぐに試奏を申し出、憧れのTexanを手にしました。ショーケース越しに見て以来、約5年振りの再会です。そして、私にとってTexanを弾くのは初めてでした。チューニングされたギターを手にし、ポロポロと弾いてみました。
「なんだこれは!?」
それはPaulのTexanとは似ても似つかぬ、申し訳ないが、安いギターの抜けの悪いこもった音だったのです。
私にとってTexanはいわば初恋の相手でした。あの時清純で世界中で一番かわいいと思っていた初恋の相手が大人になって、自分の想像とはまったく違う成長をしていた、まさにそんな気分でした。
「そうか、あの時好きだったあの子はもういないのか、、、」
とTexanと私の恋物語は静かに幕を閉じたのでした。

思わぬ再会 part 2

あれから10年後のある日、私はギターに関する知識も増え、D-28に次ぐ2本目のギターを探していました。やはりどうしても“Texan”というとうの昔にフラれたギターが頭から消えていませんでした。いろいろ調べてみるとビンテージのものでも20~30万あれば買えるということを知りました。同時に10年前に失恋したと思っていたあのギターは韓国かインドネシア製のしかもサイドバックはメイプルの合板という、初恋のあの子の皮を被った別人だということがわかりました。ピックガードの独特なEマークを今でもよく覚えています。

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https://aucview.aucfan.com/yahoo/n104568796/より拝借

「なんだ、自分はまだ完全にフラれたわけではなかったのか、、、」
それから私のTexan探しが始まりました。大阪や東京に行った際には間隙を縫って楽器屋巡り。さすがにPaulのものとドンズバの1964年製はプレミア価格がつており、それ以外の年代で探しておりました。しかし、ビンテージが大好きだという方がいらっしゃるのはもちろんわかるのですが、私はどうもビンテージとやらが苦手で、、、。ボロボロの外観、なんかペタペタするネック裏、当たりはずれの激しさ、ダメだ、、、。自分にはビンテージは向いていない。
なかば諦めかけた時、店員の方が一本のギターを持ってきてくれました。
ピカピカのTexan。初恋のあの人があの時の姿のまま現れたのです。弾かせてもらうと、ジャキジャキっとした張りのあるまだまだ新品の音。お値段はビンテージのものとさほど変わらぬか少しお安い程度。
「これか?これなのか!?」
高揚する私。一旦落ち着いて考えよう、いざとなればその店の通販で買えばよい。とその日は帰郷しました。
後で調べると日本の寺田楽器というところが作ったEpiphoneの高級ラインとのこと。
※寺田楽器についてはまたどこかで語りたいですが、この時初めて寺田楽器という名を知りました。
サトシばりに「君に決めた!」とその楽器屋に電話をすると
「昨日売れてしまった」とのこと。
「え~!!」あの時即決しなかった自分を殴り飛ばしたい衝動に駆られました。
どうしても諦めきれず、デジマートで調べると、新品の同型は3つしかありませんでした。しかし、その中の一つの店舗が私が大学時代に住んでいた町のもっともよくお邪魔をした山野楽器だったのです。楽器屋は何百とあるのに、こんなことあるのか、私は運命を感じ、その店での購入を決めました。20万越えのギターを通販で買うのはもちろん、恐怖もありましたが、運命の力を信じることにしました。待つこと2日、手元に来たギターは思っていた通りのあの子でした。このギターで初めて奏でるのはYesterdayでなくてはならぬ。1音下げて弾いてみたところ、「やっと会えたね。」という感動でした。

細かいサウンドレビューはまた次回に。とりあえず、Yesterdayだけ、、、。

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